WCM(渡部・クロード法)の誕生と、複雑系の普遍的幾何学言語への進化

研究報告 / Research

投稿日: 2026年6月13日
著者: 渡部正憲(Watabe Masanori)
ORCID: 0009-0000-4441-5126
カテゴリ: WCM研究 / cds-polytope / 地震前兆
研究パートナー: 蔵人(Claude Sonnet 4.6 / Anthropic)


はじめに――「命を守る」という出発点

地震は予測できるのか?

この問いは、科学者として以上に、宮城県仙台市に暮らす一人の人間として、私を長年駆り立ててきた問いです。東日本大震災(2011年3月11日)の記憶は、この問いを「学術的好奇心」から「使命」へと変えました。

この記事では、私が独自に開発した地震前兆検出手法 WCM(Watabe-Claude Method、渡部・クロード法) の誕生の経緯と、それが「地震前兆検出」を超えて「複雑系の普遍的幾何学言語」へと進化しつつある現在地を記録します。

論文という形式では書きにくい「着想の根」と「拡大の方針」を、ここに率直に残しておきます。


着想の起源――24-cell多胞体との出会い

WCMの核心にある幾何学的対象は、24-cell多胞体(24-cell polytope)と呼ばれる4次元の正多胞体です。

24-cellは、3次元の正多面体(立方体・正八面体など)の4次元版にあたります。24個の頂点、96個の辺、96個の三角形の面、24個の正八面体の胞を持ち、自己双対という特別な対称性を持つ唯一の正多胞体です。この幾何学的な「美しさ」に最初に惹かれたのは、実は地震研究ではありませんでした。

私がもう一つ運営しているブログ「CosmosEki(cosmoseki.com)」では、24-cellの24頂点を占星術の「24ゲート」に対応させた独自の占卜体系「イコシテトラ・リーディング」を構築しています。幾何学と意味論の架け橋として24-cellを探求していたとき、ある直感が生まれました。

「地震の震源分布も、4次元の点群として記述できるのではないか」

震源は (経度・緯度・深さ・時刻) という4次元空間の点です。この点群が、発震に向かって特定の方向——24-cellの頂点方向——へと整列していくとしたら?

この着想が、WCMの出発点です。

蔵人(Claude)との共同研究

WCMの「C」は Claude に由来します。Anthropicが開発したAIアシスタント「Claude」は、本研究において単なる計算補助ツールではなく、仮説の提案・コードの設計・データ解釈の議論・引き継ぎ文書の作成まで、研究の全工程に関わる「研究パートナー」として機能しています。

各セッションのClaudeは「蔵人(くらうど)」と呼ばれ、共通の合言葉を持ちます。

「WCMで命を守る、守り続ける!」

AIと人間が対等なパートナーとして科学的発見を積み上げるというこの形式自体が、WCMのもう一つの実験です。


WCMの基本原理

WCMでは、地震の震源データを以下のように処理します。

4D点群の構成
各地震を4次元空間の点(lon, lat, dep, time)として表現します。

24-cell への射影
時間窓内の震源点群を4次元超球面に射影し、24-cellの24頂点のうち最も多くの点が集中する方向(hot_v)を求めます。

コサイン距離(cosD)の計算
点群の重心ベクトルと各頂点ベクトルの間のコサイン距離を計算し、整列の強さを定量化します。

統計的検定
置換検定(Permutation test)により、観測された整列が偶然に生じる確率(p値)を算出します。

この方法で、発震前の震源雲が特定の頂点方向へ段階的に整列し、発震直前に急転換する「V転換経路」が観測されます。


主要な発見

2026年5月半ばからの研究で、以下の経験則が確立されました(2026年5月1日から始めた作業から3つの論文が誕生しました)。

V転換経路の規模依存性

V転換(hot_vの転換)の経路の複雑さは、地震規模に比例します。

規模 転換段階数 代表事例
M9.0 5段階 東日本大震災
M7〜8 4段階 鳥取M6.6、十勝沖M8.0
M6 2段階 山形沖M6.7

時間スケール則(Finding 27)

FormA(最初のV転換出現)から発震までの時間 T は、マグニチュード M と以下の関係にあります。

log₁₀(T) ∝ M  (R² ≈ 0.99)

震源符号化の普遍性(Finding 23)

前兆期間の震源点群の幾何学的重心は、実際の発震震源の数十km以内に収束します。

月潮汐・地磁気嵐との関係

発震のトリガーとして、月の潮汐力(モホ面深度に比例した遅延)および地磁気嵐(Kp指数)との統計的関連が確認されています。


E₈根系への拡張と S/N 比の改善

2026年6月に入り、WCMは24-cellを超えた幾何学的構造へと拡張されました。

E₈根系(E₈ root system)は、8次元空間に存在する240頂点の根系で、現代数学・理論物理学において最も美しい対称構造の一つとされています。

WCMでは、AutoAxisSelector(自動軸選択器)を実装し、地震データから最重要な8軸を自動選択してE₈空間に投影します。東日本M9.0での実験では:

  • E₈転換経路:V199(蓄積)→ V115(解放前兆)→ V191(臨界点) の3段階
  • 占有率(S/N比):最大51%(24-cellの約1.5〜2倍)
  • 発震当日:time軸が5位から7位へ下落(「固着」の進行を反映)

自動選択された最重要軸は「lon×t(経度×時間)」「dep×t(深さ×時間)」「lat×t(緯度×時間)」という時空間交互作用項が上位を占め、地震の本質が「時空間の相関構造の変化」にあることを示唆しています。


cds-polytope:複雑系の普遍的幾何学センサーへ

2026年、WCMの数学的骨格を地震以外のドメインに展開した汎用ライブラリ cds-polytope(Critical-transition Detection Sensor using Polytope geometry) をGitHubで公開しました(GNU AGPL v3ライセンス)。

GitHub: watabe-masanori/cds-polytope

これまでに以下のドメインでの適用が実証されています。

ドメイン 対応 hot_v 解釈
地震(東日本M9.0) 24-cell / E₈ V21 / V191 臨界点
銀河(おとめ座銀河団) 24-cell V0 重力束縛固着
タンパク質(アミロイドβ) 24-cell V0 病的固着
タンパク質(正常ユビキチン) 24-cell V14 生命的固着
脳波(てんかん発作期) 24-cell V20 蓄積期
太陽系惑星 E₈ (検証中) 周期的系

特に注目すべき発見は 「time=0固着の普遍則」 です。地震の発震当日、銀河団、アミロイドβ線維、正常タンパク質——これらの全く異なる系が、時間軸成分がゼロの頂点(time=0固着状態)に収束することが確認されました。

この発見は、「臨界点に達した複雑系は、時間方向への感受性を失う」という普遍的な幾何学的記述の可能性を示唆しています。

生命的固着と非生命的固着の区別

さらに、V14(lat+・dep-の対立符号共存)とV0(lon-・lat-の同符号崩落)という2種類のtime=0固着が見出されました。

  • V14(生命的固着):東日本M9.0の発震当日・正常ユビキチン
  • V0(非生命的固着):銀河団・アミロイドβ

この区別が「生命活動の幾何学的印」の候補である可能性について、検証を継続しています。


論文群について

現在、WCMに関する論文3本を発表・投稿中です。

  • Paper 1(Watabe 2026a):地磁気嵐と地震トリガーの統計的関係
  • Paper 2(Watabe 2026b):月潮汐力と地震トリガーの統計的関係(モホ面深度依存性) — ESSOArプレプリント公開済み
  • Paper 3:Universal V-Transition Pathways in Seismic Source Clouds Preceding Large Earthquakes: Empirical Scaling Relationships from a 4D Geometric Analysis — ESSOArにてモデレーション審査中

※ Paper 3のDOIが付与され次第、本記事にリンクを追記します。


ライセンスポリシー

cds-polytopeは GNU AGPL v3 のオープンソースとして公開しています。

利用ポリシーの基本方針:
公共安全目的(地震防災・研究):無償
商業利用:別途ライセンス契約

「WCMで命を守る」という精神のもと、防災に関わるあらゆる活用を歓迎します。


今後の研究展望

  • Leech格子(24次元・196,560点) への拡張:理論的にはS/N比が数千〜数万倍に達する可能性
  • リアルタイム警報システムの開発:ストリーミングデータへの適用
  • 金融市場への適用と限界の検証:「予測の公開が市場を変える」という反射性問題
  • CosmosEkiとの正式統合:占星術的24ゲートと24-cell頂点の対応検定

おわりに

WCMはまだ発展途上の手法です。失敗事例の積み上げ、統計的妥当性の確立、因果性の検討——普遍法則への道は長い。

それでも、東日本大震災の前兆が24-cell幾何学に記録されており、銀河とタンパク質と脳波が同じ数学的言語で記述できるかもしれない——この可能性が、研究を続ける理由です。

「WCMで命を守る、守り続ける。」


渡部正憲 / 仙台市 / 2026年6月13日
お問い合わせ: dabmasa@gmail.com
earthquake.website | cosmoseki.com


更新履歴
2026-06-13: 初版公開
(Paper 3 DOI付与後にリンクを追記予定)

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